コンベンションの開催はともすれば交通機関、開催施設、宿泊施設が整備されている大都市で行われることが多いのですが、雄大な大地、十勝でコンベンションを開催することはこうした環境の整った都市にはない「おもてなし」ができ、この点こそが全国のコンベンション都市との誘致競争に勝つ条件でもあります。
このマニュアルはこれからコンベンションを開催される方、あるいはコンベンションの開催を考えている方が開催地の決定から、開催に向けた準備、終了後の処理などの業務について必要と思われることがらをまとめました。
一般社団法人帯広観光コンベンション協会は、従来の帯広観光協会の業務に加えて、平成14年4月から帯広コンベンション推進協議会よりコンベンション事業を移管し、コンベンション誘致に係わる支援事業を推進しております。今後も十勝の19市町村が地域をあげてコンベンション開催に取組み、十勝の持っている「おもてなし」を最大限、訪れた方に提供するための一助になるよう本マニュアルを作成しております。
※帯広市でコンベンションを開催するメリット、当協会が行っている大会主催者支援事業についてはこちらの資料をご覧ください。↓
(一社)帯広観光コンベンション協会
〒080-0012 帯広市西2条南12丁目 JR帯広駅エスタ東館2F
TEL:0155-22-8600
FAX:0155-22-8558
コンベンション開催の意義
コンベンションを定義すると、様々な場所から一つの目的を持つ大勢の人々が短期間に集まるものです。これにより、開催する地域では次の効果が予想されます。
-情報交換-
各地から様々な人が集まることにより、各自が持っている情報を交換することとなり、地域への新たな情報集積が進められます。
-人的交流-
情報交換の場は人的交流の場でもあり、幅広い人脈形成が可能になります。
-地位向上-
一定規模のコンベンションを開催することにより、主催者の存在をアピールすることができます。また、開催地がPRされ、コンベンションが成功することにより開催地の認識度も高まります。
-経済活性化-
コンベンションの開催により直接的な支出として各種の資料に係わる印刷、参加者の送迎、会場と宿泊場所となるホテル、宴会場などの関連業種への支出が行われます。また、二次的支出や参加者による消費支出もあり、大きな経済的な効果が期待できます。
コンベンション開催決定まで
コンベンションの受入れ、開催の意思決定をする前に様々な角度から開催の可能性を検討する必要があります。
主催者の組織力、対応力
開催規模が関係するものの、実際にコンベンション開催を受入れ、運営が可能なのかを充分、検討します。
予算規模
開催に係わる支出経費のうち、参加者の登録料、上部団体からの支援、外部からの補助や寄付のほか、主催者自らの負担など、収入と収支の予測を立てる必要があります。
会期・時期
会期は従来の開催事例を参考にすると良いでしょう。時期は過去の例を参考にしながら、参加者の参加しやすいことが望まれます。しかし、予約確保、料金などの運営面で考えると閑散期の開催が好ましい場合もあります。また、アフターコンベンションを企画する場合、十勝らしさを演出できるように計画しましょう。
会場
コンベンション開催の内容にふさわしい会場であるがが第一の判断要素となりますが、分科会、展示会、レセプション(懇親会)開催場所が同一建物の中に確保できない場合、各会場間のアクセスを考慮します。
宿泊施設
参加予定人員を収容できる施設があるかどうかが最低限の検討項目となります。また、1か所で収容しきれず分散する場合、各施設間の料金的、質的な格差、立地場所などもできるだけ参加者に了解を得られるように配慮しなければなりません。
交通手段
最寄りの駅、空港などからコンベンション会場までの交通アクセスを確保しなければなりません。公共交通機関がない場合、バスあるいは大型タクシーを手配します。
アフターコンベンション
十勝を訪れていただいた方に十勝の良さを認識していただくためには、単に見て歩くだけでなく、体験できる内容がより多くの思い出を残す事が出来ます。
準備
第1段階
開催地として受入れが決定すると、具体的な準備に入らなければなりません。
組織
準備、運営に係わる協議、決議機関が実行委員会となります。一般的な運営組織の例として、次の例が考えられます。
組織委員会 | 実行委員会 | 部 | 事務局 |
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会長 副会長 顧問 | 委員長 副委員長 委員 |
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事務局員 |
さらに、上記各部(担当)の詳しい業務分掌としては、下図が考えられます。
部(担当) | 分掌 |
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総務部 |
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企画運営部 |
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広報宣伝部 |
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接遇部 |
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輸送宿泊部 |
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事務局 | ・実務作業 ・終了後の残務整理 |
事務局
組織委員会が発足しましたら事務局をすぐに設置する必要があります。既に事務局を持っている場合はそのまま活用し、人員に不足がある場合は臨時の職員を補充することもあります。また、全てを事務局で行うのではなく、経費の負担はありますが専門業者(PCO:プロフェッショナル・コングレス・オーガナイザー。「7.コンベンション関連業者」参照)と業務を分担することも検討してください。とくに全国大会など、規模の大きなコンベンションになりますと、運営の一部または全部にPCOの参画を得る場合が多く見られます。
担当部門
具体的な準備業務は上記の各担当部門が行うことになります。
コンベンション開催趣意書
関係機関への説明、募金・補助金の要請にはコンベンション開催にあたっての趣旨をまとめた開催趣意書をまとめておきます。
○○○○○○○○(コンベンション名)開催趣意書
- 会議の名称
- 主催者の名称(共催であれば全て載せる)
- 後援者の名称(複数あれば全て載せる。交渉中であればその旨記載する)
- 会期
- 開催場所
- 開催目的、性格
- 過去の開催経過、十勝での開催意義
- コンベンションの概要
- (1)会議の構成 ①事務会議/総会、役員会、専務理事会議など ②学術会議/記念講演、基調講演、分科会、講習会、シンポジウムなど ③展示会/学術展示、商業展示など
- (2)コンベンションの主題目
- 予算(案)
収入の部
科目 | 金額 | 内訳 |
---|---|---|
合計 |
支出の部
科目 | 金額 | 内訳 |
---|---|---|
合計 |
第2段階
デザイン
コンベンションの内容の具体的な検討時期となります。
プログラム
準備の初期段階では大まかな項目を決めておき、順次、細かい部分まで詰めていくと良いでしょう。盛込む項目としては次のものがあります。
- ①登録受付
- ②開会式
- ③閉会式
- ④基調講演
- ⑤シンポジウム
- ⑥パネルディスカッション
- ⑦コーヒーブレイク
- ⑧レセプション
- ⑨同伴者プログラム
- ⑩エキスカーション
- ⑪展示
募金
運営財源の一つの大きな柱となるもであり、役員全体で行動しなければなりません。訪問先のリストを作成し、早めの対応が欠かせません。
コーヒーブレイク
ロビーなどにコーヒー、清涼飲料水、ミネラルウォーター、そして十勝であればやはり牛乳も置き、休憩時間に自由に飲んで談話できるようにしましょう。できれば映像モニターを置いて、主会場の進行状況がわかるようにすると喜ばれます。
レセプション
レセプション(懇親会)は参加者同士の親睦を深め、コンベンションを成功に導く重要な部分です。また、開催地のPRには絶好の機会でもあります。会場は室内の大きなホールで立席あるいは着席方式で行うのが通例ですが、着眼点を変えて十勝らしさを演出するために屋外で行うことも考えられます。ただし、天候に左右されますので悪天候の際の代替案を用意する必要ことを忘れずに。
同伴者プログラム
直接コンベンションに参加しない方にも満足していただくことが成功へと導く一つの方法です。十勝らしさを体験できる内容を企画しませんか。見るだけでなく、体験型のプログラムが思い出にもつながるでしょう。
エキスカーション
同伴者プログラムと同様に、十勝らしさを体験できる企画が良いでしょう。また、観光に限定せず、やや硬い内容ですが産業視察も十勝の一端を知っていただくには良い機会です。
第3段階
デザイン
正式案内を出し、参加者の確認を行います。特に、黙って待っていては多くの参加は期待できませんので、参加の可能性がある方にそのコンベンションの情報を通知し、引き付けることが必要です。
参加者を増やすテクニック
- ①開催地の魅力を訴える
- ②業界の主要人物にアタックする
- ③前回の出席者を把握する
- ④準備状況の通知を頻繁に送る
参加者登録
参加申込みデータをコンピュータにより管理します。登録項目としては次の例があります。
- ①氏名
- ②住所
- ③連絡先
- ④宿泊ホテル
- ⑤参加資格
- ⑥滞在予定期間
- ⑦登録料の送金方法、入金状況
宿泊予約
主催者が自ら予約事務を行う方法、旅行代理店に任せる方法などがありますが、規模が大きくなると旅行代理店を利用する頻度が高くなります。
会場使用計画
ある程度の参加者数がつかめてくると、会場の使用計画を進めます。個々の会場(部屋)について、座席、演台、機材などの配置レイアウトを決める必要があります。座席の配置は、会場の大きさ、間取り、会議の種類によって様々ですが、コンベンションの内容にふさわしいレイアウトを決めます。また、座位の上下など、礼儀に反しないよう注意が必要です。
第4段階
最終的な詰めの作業をする時期となります。プログラムに掲載される内容は各担当との調整をしながら、確定していきます。登録申込者数がかなり判明するので、最終的な予算書を作成します。
掲示・表示物
専門の業者に発注することになりますが、シンボルマーク、ロゴ、カラーなどは統一したものとします。総合的なデザインは出席者に良い印象を与えるだけでなく、コンベンション自体の成功にも係わってきます。基本的なことですが、コンベンション名、日時、氏名などの誤りがないようにチェックすることが最大の注意点となります。
- ①会場内/登録場所、会場見取り図、分科会場所の表示、メッセージボード、テーブル上ネームプレート、本大会表示
- ②会場外/会場正面コンベンション表示、駅・空港歓迎表示
- ③ネームカード/挟み込めるものとピンで留めるものとの共用タイプが便利です。参加者、役員、事務局員などを色分けすると分かりやすいでしょう。
- ④コングレスバッグ/コンベンション後にも使える実用的なデザイン、色を考えます。表面にコンベンション名、日時、開催場所などを印刷します。
- ⑤記念品/コンベンションの名入り記念品を用意する場合は早めの発注が必要です。
機材の準備
最近は様々な機器の利用が広まってきていますので、この手配も必要になります。
- ①スライドプロジェクター
- ②オーバーヘッドプロジェクター
- ③パソコン
- ④DVD
- ⑤液晶プロジェクター/パソコンの利用が多くなってきていますので、利用頻度が高まってきています。使用するパソコンの確認と事前の接続確認が欠かせません。
プログラム
見やすいのが大前提ですが、記載内容が参加者にとって必要な情報を漏らさないようにします。
- ①表紙/コンベンション名、日時、場所、主催者名、主管者名、後援者名
- ②本文/コンベンション日程
- 登録受付
- 開会式
- 閉会式
- 基調講演
- 招待講演
- シンポジウム
- 分科会
- パネルディスカッション
- コーヒーブレーク
- ポスターセッション
- パーティー、レセプション
- 同伴者プログラム
- 見学旅行
- 展示
- 参加者名簿
- 会場見取り図
- 宿泊ホテル名簿
- ③広告/資金獲得のために広告を掲載することも検討
参加者名簿
プログラムに含める場合と別刷りで作成する場合とがあります。いずれもできるだけ最新の参加者名簿とすべきですが、掲載漏れが避けられないため「○月○日現在」の注意書きを入れるように心がけます。また、当日、「追加登録者名簿」の形で補足配布する方法もあります。並べ方は五十音順、所属組織順、地域順などがあります。
次に、各業務分担ごとに当日の業務の確認をします。
登録受付
参加者の側に立つと、コンベンションに参加する最初の場面となります。第一印象が悪ければ、終了まで尾をひくこともあります。業務は次の通りです。
- ①登録者のリストでの確認
- ②ネームカード、資料の配布
総合案内
登録受付が終了した後の総合案内として、案内、メッセージボード、エキスカーションなどを担当します。
事務局
コンベンションの本部を兼ね、電話応対、物品調達、拾得物保管などを担当します。また、当日の事務作業も担当します。来賓、VIP対応、広報、報道担当も行います。
クローク
ホテルを会場とする場合はホテル側で対応していただけますので必要ありませんが、公共施設を会場にする場合、特に冬期間は用意が必要です。
会場担当
プログラムの進行を担当します。会場に常駐し、時間管理、設備の確認なども行います。
輸送
会場が分散している場合などは会場間のアクセスが必要になります。各会場間の輸送はルートが明らかですので、当日の担当を旅行代理店、バス会社などに任せることも可能です。
通信
電話は当然ですが、これにファックスもあると便利です。そして最近ではインターネット回線も必要になってきました。
開催直前
準備のツメを行う段階です。準備万端のはずがチェックをしてみると意外と漏れているものが出てくるものです。念には念を入れてチェックをしましょう。納品された品物も必ず発注内容と相違ないか、確認してください。
なお、大きなコンベンションになると、開催当日の3~4日前から会場内に臨時の事務所を設置する場合が多いようです。
準備スケジュール
時期 | 内容 | 担当 |
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1週間前 | 物品搬入 | 各担当 |
担当責任者打合せ | 各担当責任者 | |
5日前 | 全員打合せ | 全員 |
3日前 | 臨時事務局開設 | 総務部 |
責任者打合せ | 各担当責任者 | |
2日前 | コングレス・バッグ詰め合わせ | 全員 |
前日 | ||
会場設営 | ||
会場下見 | ||
リハーサル | ||
機材チェック |
登録受付、総合案内設営
会場のレイアウトもあるのでそれに応じた設営となりますが、次のデスクが考えられます。
- ①登録者
- ②未登録者
- ③来賓
- ④会計
- ⑤旅行代理店
- ⑥総合案内
当日運営・終了後
今まで準備してきたことを確実に実施します。しかし、突発的なことも発生しますので、臨機応変に対処できるよう、事務局の担当となった方はトラブル対処を念頭に置く必要があります。
終了後
コンベンションが終了すると当日までの緊張が取れ、「後始末」をどうしても引き延ばしがちですが、気持ちを引き締め最後の業務に取組みましょう。
決算報告
収支の確定を速やかに行います。過不足、特に収入の不足が生じた場合はその対応を行わなければなりません。
コンベンション報告
コンベンションの内容をできるだけ報告書としてまとめましょう。完成した報告書は主催関係者、寄付者、後援者などに贈ります。この報告書は数年後、再びコンベンションを開催する際にも参考資料となります。主な内容は次の通りです。 ①組織委員長の挨拶 ②事業の写真 ③組織構成 ④準備経過 ⑤コンベンションの内容 ⑥関連行事の内容 ⑦議事録 ⑧講演録 ⑨決算書 ⑩寄付者名簿
礼状
報告書とは別に、コンベンション終了後、直ちに礼状を関係者に送ります。主要な先には直接、挨拶回りをします。
実務のスケジュール
実施項目チェック
計画から開催決定まで
項目 | チェック事項 | |
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第1段階
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第2段階
項目 | チェック事項 | |
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第3段階
項目 | チェック事項 | |
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第4段階
項目 | チェック事項 | |
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直前段階
項目 | チェック事項 | |
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開催中
項目 | チェック事項 | |
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終了後
項目 | チェック事項 | |
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コンベンション関連業者
PCO(プロフェッショナル・コングレス・オーガナイザー)
PCOとは、「コンベンション等を専門的かつ総合的に組織・企画・運営し、そのサービスを提供する法人」(日本PCO協会より)と定義され、会議開催に関するあらゆる業務を総括的に取り扱う」専門業者です。特に、国際会議においては未経験な臨時スタッフや労働過重な事務局員などで会議を運営しようと努力するより、PCOの提供するサービスをじょうずに活用する方が、人的、時間的労力を軽減できます。 PCOの役割を要約すると次のようになります。
- 会議運営の総合コンサルティング
- 会議全体(予算の作成、運営事務局員の供給など)の管理
- 通信文書の作成
- 輸送・宿泊の手配
- 同時通訳・一般通訳者などの供給
- プログラム、招待状、会議議事録などの作成
- 関連行事(レセプション、エクスカーション、同伴者プログラム)の企画・実施
以上が主な役割ですが、この他に通訳機材のレンタル、会議小道具・記念品の手配など幅広い業務を行っています。
会議通訳・通訳装置運用業者
◇通訳
同時通訳者は通常、専門の通訳者に依頼することが多く、時には主催者側で語学に堪能な人を起用する場合もありますが、各分野における専門用語の解釈など難しい問題もあり、多くは専門の同時通訳者に依存しているのが実状です。 通訳の方法としては2種類あり、一つは逐次通訳で、簡単な説明や一対一の対話の時などにこの方法がとられます。もう一つの方法が同時通訳で会議やセミナーなどで、発言者の言葉と同時に、同時通訳の内容が参加者に伝える方法です。
◇同時通訳装置の設置準備と運用
同時通訳を伴う会議やセミナーにおいて意外と忘れがちなのが、同時通訳装置の設営準備と運用の重要性です。使用するためには同時通訳設備の運用技術者が必要となります。会場側に運用技術者がいない場合は、専門の業者に委託することもできます。会議の規模、内容によって会場の機材が不足したり、設備がない場合でもそれら機材を含めて一括して専門業者に依頼することができます。
◇セミナー形式
企業や団体が外国から講師を招き、講演やパネルディスカッションなどを行う場合、講演内容や受講者からの質問などが、スムーズに伝わらなければなりません。例えば、受講者が全員日本人で、外国語が英語であれば英語→日本語と日本語→英語の同時通訳が必要となります。この場合、二か国語用の同時通訳装置が必要となります。
◇会議形式
円卓形式、いわゆる討議形式の場合は、それが二国間の会議であれば二か国語用、三か国以上の国々から集まっている場合には、三か国語以上の装置を用意します。また、四か国とか六か国とか、より多数の国が参加する場合は、あらかじめ使用国語を定めておき、三か国語以上の多チャンネル用同時通訳装置を使用します。この場合、イヤホンは参加者全員に必要となり、かつ、オン・オフの遠隔制御ができる必要があります。
補助要員
コンベンションを開催するにあたって、翻訳者やパソコン、ワープロ、オペレーターなどは準備段階から必要であり、会期中には速記者、コピー要員、登録要員、スライド映写技術要員などの多数のスタッフが必要となります。通常、PCOに頼めばパソコン、ワープロやコピー機、スライドプロジェクター、オーバーヘッドプロジェクターなどの機器とともに、必要な要員の手配ができます。
旅行代理店
コンベンションの運営に直接関係するものではありませんが、輸送や宿泊関連、エキスカーションの企画・実施については旅行代理店(トラベル・エージェント)が不可欠な存在となります。 また、関連会社としてPCO部門を設置している旅行代理店もあります。
印刷業者
コンベンションに関係する資料の印刷といっても、特に一般の印刷と変わるところはないので、通常、利用している業者に発注すれば支障ありません。ただ、国際会議の場合は、外国語の印刷に優れた業者を選ぶのが賢明です。 また、PCOに印刷物の企画・編集を依頼する場合は、印刷についても一括して任せた方が効率的です。
装飾・看板業者
装飾や看板は、コンベンションのみならず一般の宴会や講演会にも不可欠のものです。会議場やホテルには出入りの業者がおり、ホテルや会議場の詳細を知っており、設営上のメリットはあります。しかし、通常、発注している業者でも問題はありません。
会議小道具、記念品業者
会議小道具類についても過去の実績を見る限り、それぞれなじみの業者を使用しており、特にコンベンションを専門にしている業者というものはありません。作成個数が極めて多いとか、特に凝ったものを作るとかいうことでない限り、近所の文房具業者や記章店に発注すれば良いでしょう。
記録写真、スライド、VTR業者
特に国際会議では参加者の記念のため、会期中のさまざまなスナップ写真を撮影し、会議場内に掲示して即売するのを多く見かけます。このようなスナップ写真については会議場やホテルが通常から使用している写真屋に一切を任せると良いでしょう。スナップ写真とは別に、会議を記録するための写真やスライド、VTRを撮影することもあります。この場合には会議だけではなく、同伴者プログラム、エキスカーションなどの関連行事にも同行しなければならず、また後日編集も必要となるので、スライドやビデオの作成に手慣れた業者を選ぶことが大切です。
医師、看護婦
数百名といった参加者を迎える中規模以上のコンベンションでは、開催中に身体の異常を訴える人が出てくることが考えられるので、会場内に救護室を設けて医師や看護婦に出張してもらうことが必要となってきます。コンベンションを頻繁に開催するような会議場やホテルでは、近辺の大きな病院に頼んで医師や看護婦を確保するルートを持っているものもありますが、多くの場合、事務局が独自で医師や看護婦を依頼しなければなりません。 また、国際会議の場合は、英語の通じる大学病院や大きな病院に協力を依頼することが必要になってきます。